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保育園を舞台にしたミステリ&恋愛小説「ふたつめの庭」大崎梢 

大崎梢の「ふたつめの庭」を読みました。

保育園で保育士として働く美南(みなみ)は、自分の顔に化粧をするより、画用紙にゴリラの絵を描いている方が楽しい。4歳児のクラスを受け持っているが、日々トラブルが絶えない。
美南のクラスの旬太の父は、離婚してから、子育てのために定時退社しやすい部署に移ってシングルファーザーとして子育て中。

保育園の子どもたちとその保護者たち、保育園によく顔をだすイラストレーターのカツミといった人々とのかかわりの中で出会うミステリというほどでもない小さな謎と、なんだかもどかしい恋愛模様を描いた小説です。

子どもたちと通った保育園のことを思い出しながら、読んでいました。
園庭で行った夏祭り。クリスマス会は、保育士さんのお友達というロックバンドが出演してたこと。子ども同士のトラブル。そして子どもたちが読んでもらっていた紙芝居や絵本・・・。懐かしいなあ。
保育園のたくさんの思い出がよみがえりました。

というわけで、いろんな意味で楽しめた小説でした。

ふたつめの庭ふたつめの庭
大崎 梢

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「クローバー・レイン」大崎梢 

大好きな作家さんの一人、大崎梢の「クローバー・レイン」を読みました。

主人公の彰彦は、大手出版社の若手編集者。ある日、今は人気のない作家の未発表原稿に感動し、これをなんとか出版したいと尽力を始めます。
出版社の上司は、売れるかどうかわからない作家の本を出版するにはリスクがある、と断りますが、彰彦はいろいろなところからアプローチを続けていきます。
書店で本を売ってもらうために苦労している出版社の営業担当の若手社員、ライバルとなる他社の編集者たち。それぞれとのやり取りも興味深いです。
作家の娘さんとの交渉もどうなるかと思いましたが、ラストでほっとしました。
大崎梢ならではの作品ですね。

1冊の本を作り、読者のもとに届けるまでには、作家だけでなく多くの人たちが関わっていることをあらためて思いました。
編集者の名前って気にしたことはないし、通常載っていないのでは?と思い、この本の後付を見たら、「編集 吉田元子」って小さな文字で書いてありました。
他の本は?と思い、いろいろ見てみたら、文庫や新書は載っていないもののほうが多いですが、単行本は、「編集」とか「編集担当」として名前が書いてあるものもあるのですね。発見でした。

kindleなどの電子書籍も、便利な時もありますが、活字の本はまだまだなくならないで欲しいものです。

クローバー・レイン (一般書)クローバー・レイン (一般書)
大崎梢

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編集者が主人公の小説、他にもあります。
プリティが多すぎるプリティが多すぎる
大崎 梢

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「背表紙は歌う」大崎梢 

大崎梢の<出版社営業・井辻智紀の営業日誌>シリーズ第2弾「背表紙は歌う」を読みました。

第1作の「平台がおまちかね」と同様、ひつじ君とよばれてしまう井辻くんが、書店を回って営業する中で出会う小さな謎や、巻き込まれたトラブルを解決していく短編集です。

「ビターな挑戦者」:井辻くんに暴言をあびせた男の正体は?
「新刊ナイト」では、かつての知り合いに会いたくないためにサイン会を行わない作家さんに、元同級生でサインをもらいたいという書店員にどう対応するか悩む井辻くん。
本の題名にもなっている「背表紙は歌う」は、新潟に出張した真柴くんと協力し合いながら謎を解きます。題名の意味は最後まで読んでなるほど、でした。
「君とぼくの待機会」は、日本有数の文学賞東々賞にノミネートされた作家にある噂が・・・。直木賞候補作が発表された今、とってもタイムリーなお話でした。文学賞をめぐって編集者や出版社、そして書店がこういうふうに動いているのね、と業界ものとしても面白かったです。
「プロモーション・クイズ」は、書店員さんによる本の紹介のコメントをめぐる話と、本の中に出てくるなぞなぞ。成風堂書店が出てきたのは、作者のサービスですね。

というわけで、どの作品も書店業界の裏話+ミステリー、なおかつ心温まるストーリーで、本好きな人ならきっと楽しめると思います。

4488025366背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)
大崎 梢
東京創元社 2010-09-11

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「夏のくじら」(大崎梢) 

大崎梢の「夏のくじら」は、夏におすすめの本。だいぶ前に読んだのですが、夏になるのを待って紹介しています。

高知のよさこい祭りを舞台に、4年前中学生だった頃に出会った年上の女の人を探す篤史が主人公。
東京から高知の大学に入った篤史は、従兄弟の多郎に誘われ、商店街のよさこいチームのスタッフにさせられてしまう。
一般参加者である「踊り子」(参加は有料!)を集め、音楽を決め、衣装を作り、踊りを完成させていく。
準備する中での悩みもつきないし、祭りの当日は、入賞できるかどうか、思い出の人と再会できるかどうか、など最後まで目が離せない。

人探し、という部分がちょっとだけミステリ風味ですが、基本は青春小説ですね。
高知の夏、祭りの熱気と踊る人たちの汗、登場人物それぞれの祭りに対する思い、そして恋。
素敵な小説です。

大崎梢といえば、「平台がおまちかね」や「配達あかずきん」などの「成風堂書店事件メモ」シリーズが有名ですが、この「夏のくじら」もお気に入りの一冊になりました。

4163273301夏のくじら
大崎 梢
文藝春秋 2008-08

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「ねずみ石」大崎梢 

大崎梢の「ねずみ石」を読みました。

主人公は中学生男子。表紙も少年たちが森の中に座っている絵で、児童書なのかな?と思って読み始めたのですが、殺人事件それも二人が惨殺されその謎を追う、という濃い感じのミステリでした。

「ねずみ石」は、祭りの時に隠される「子」の字が書かれた石。小学生までの子どもたちがこの石を探し、見つけたものは、願いをかけることができるという。

中学1年のサトは、4年前に村で起きた殺人事件の日、森で行方不明になったが、その日のことは記憶を失ったまま。友人のセイに頼まれ、村の祭りのことを一緒に調べることになるが、4年前の事件のことを調べに刑事がやってきたり、また新たな事件が起きたりする・・・
過去の事件の鍵を握るサトの記憶は、戻るべきなのか、そうではないのか。

祭りの準備と、事件の真相をめぐるいくつかの動きがクロスして、ラストに向かって盛り上がっていきます。
読み応えのある1冊でした。


4334926819ねずみ石
光文社 2009-09-18

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