「冠・婚・葬・祭」中島京子 

成人の日の今日にふさわしい本、ということで、中島京子「冠・婚・葬・祭」をご紹介します。

本書には、冠婚葬祭それぞれにちなんだ4つの短編が収められています。
「冠」はもちろん、成人式。
「空に、ディアボロを高く」という短編は、成人式の捏造記事がきっかけで退職することになった新人新聞記者と、取材されたストリートパフォーマーの話。

「この方と、この方」は、過去には数多くの良縁を取り結び、「お見合いおばさん」と呼ばれた女性が主人公。引退したつもりだったが久しぶりに持ち込まれたお見合希望の男女二人をどうするものか、悩む。

「葬式ドライブ」では、上司から老女をひとり、葬式に連れていくように、という命令を受けた新入社員が、福祉車両を手配して彼女と告別式と火葬場へ連れていき、グループホームまで送り届けるのですが・・・。

「最後のお盆」は、両親も亡くなり、田舎の家屋敷を手放す前に昔ながらの「お盆」をやろうと集まる家族たちの風景。そこにはこの世の人でない人達も訪ねてくる。 

どの話も失業や怪我、知人の死といった、暗い話から始まるのですが、ラストはどれも明るく希望的なのがとてもよいです。
最近では失われつつある昔ながらの風習について書きとめながら、今の時代の人と人との新しいつながりを描いた巧みな短篇集でした。

4480427716冠・婚・葬・祭 (ちくま文庫)
中島 京子
筑摩書房 2010-09

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コメント

なすやキュウリの馬はつくらないです。

牛くんの母さんへ
トラックバックありがとうございました(*´∀`)ノ
「最後のお盆」の舞台は私の故郷なので、近所の人が気軽にお線香をあげにきたり、川遊びをしたり、うどんをすすったりといったことは本当にやっていて、「あるある!」と読みながらうなづいていました。

日月さんへ

日月さん、こんばんは~。
コメントありがとうございます。

日月さんの故郷が舞台なんですね。懐かしい行事を小説にしてくれて嬉しい感じがすることでしょう。
私も自分の故郷が舞台になっている小説にはつい甘い評価をしてしまいます。

もうすぐお盆。
今年は受験生もいるし、仕事もあるので、お盆に里帰りできないのですが、お盆には遠くから先祖のことを思い出したいと思います。

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「冠・婚・葬・祭」 中島 京子

冠婚葬祭をテーマにした4つのオムニバス小説「冠・婚・葬・祭」 「小さいおうち」や「エルニーニョ」に比べて不思議な世界観は控えめだけれど、冠婚葬祭という形式ばったテーマから垣間見れる人生のワンシーンを独特の視点で描いています。 ・空に、ディアボロを高く...

  • [2011/07/31 20:47]
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