「ホームレス歌人のいた冬」三山 喬  

三山 喬の「ホームレス歌人のいた冬」は、秀逸なノンフィクション。

2008年の暮れ、朝日新聞の「歌壇」欄に掲載された歌の投稿者住所には(ホームレス)と書かれていた。

 (柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ
                   (ホームレス)公田耕一

この歌をはじめとして、その後も多くの歌が投稿され、歌壇に掲載される。しかし、正体を明かさないまま、約9か月後には投稿も途絶えてしまった。
関連する短歌が投稿されるようになり、新聞記事にも取り上げられ、話題を集めた公田耕一氏の正体と消息を求めての著者の旅が始まる。

著者は、路上での「最初の晩」がどんなものだろう、と冬の日に野外で泊まって追体験をし、歌に残された手がかりから、横浜の町を歩き回る。まるでミステリーを読んでいるような面白さがある。

公田耕一氏はどういう人物だったのか。そしてなぜ投稿をやめてしまったのか。
公田という名前の読み方にしても、「こうだ」「くでん」「きみた」と人それぞれ。公田氏の作品を読んだ人たちの心に、それぞれの公田像があったと述べている。

ホームレスの人々との交流や考察もあるが、暖かい視線は、いつ自分もそちら側に行くかもわからないという気持ちから来るものだろう。おすすめの一冊。

ホームレス歌人のいた冬ホームレス歌人のいた冬
三山 喬

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