ヤングケアラーについて知るためのおすすめ本
「私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記」を、同僚に勧められて読みました。
小学生のゆいは、統合失調症の母と、会社員の父、認知症の祖父、そして弟と暮らしています。
母は体調が悪い日のほうが多く、一家の家事は、ゆいが1人で担っています。
時には母から包丁を向けられ、あるいは父の浮気を疑った母から父の会社に行くよう命令され学校を休む、そんな日々でした。
「困っていることはない?」と教師に尋ねられても、別に困ってはいないか、と「困ってないです」と答え、正直に話したところで大人は助けてくれるわけではない。
自分の感情を殺し、ロボットになることで乗り切ろうとしたゆい。
大学生になってお気楽な周囲の学生との感覚の違いに、「私だけ年を取っているみたいだ」と感じたりします。
本書は、特定の個人ではなく複数のヤングケアラーの体験をもとに描いたコミックですが、どの出来事も実際にあったエピソードなのだそう。
ヤングケアラーの実態について知りたい人は、まずこの本を読んでみてください。
他に私が読んだヤングケアラー関連の本をいくつかご紹介します。
「ヤングケアラー わたしの語り――子どもや若者が経験した家族のケア・介護」は、実際にヤングケアラーだった人たちの手記。
難病の母を支える少年、重度心身障害者である妹と暮らす「きょうだい児」、聞こえない両親と暮らす健聴の子どもの悩み、など、さまざまなヤングケアラーが自分の言葉で語ります。
学校の同級生には自分のことを話せない、という気持ち。
かわいそう、と見られがちではあるが、家族への愛情があってケアをしているのだからこれでいいのだ、という肯定的な気持ちについても知ることができました。
家族の介護やケアのために、子どもらしい生活ができない子どもたちがいることを、大人は無関心でいてはいけないと思いました。
「「ヤングケアラー」とは誰か 家族を“気づかう"子どもたちの孤立」は、ヤングケアラーの当事者や経験者への聞き書きです。
覚せい剤依存症の母親と暮らしているAさんは、そのことを大人に相談できないというつらさをかかえています。
コーダ(ろう者の両親をもつ健聴の子ども)は、親のために通訳をしなければなりませんが、手話通訳をしているとメモも取れず、話の内容を覚えていることはできませんが、親は娘が聞いているだろうと思って覚えていない、ということが起きてしまいます。
この本では、ヤングケアラーや困りごとをかかえた子どもたちの「居場所」の大切さについて述べています。
こちらはこれから読みます。
ヤングケアラーは、当事者から相談されないからといって、困っていないわけではない、ということを大人が理解しないといけないのだということを忘れないようにしたいものです。
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