「アウシュヴィッツの図書係」 

「アウシュヴィッツの図書係」を読みました。

ユダヤ人だからという理由で、アウシュヴィッツに収容された少女ディタは、家族収容所の子ども棟で密かに開かれている学校の図書係に任命された。所持することを禁じられている本8冊を、収容所の看守から守り抜くことが仕事だ。

収容所での悲惨な生活。一日を生き延びることすら大変なのに、学ぼうとする子供たちと、教えようとする教師たちがいた。

ディタは、命がけで本を守る。
本の存在は、心をどれだけ遠い世界に連れていってくれることか。

この本に描かれていることが実話を元にしていること、ディタが実在した人物で著者が会いに行ったことをエピローグで読んで驚いた。

ぜひ多くの人にこの本を読んでもらいたい。
中学生や高校生の読書感想文にもおすすめ。

アウシュヴィッツの図書係アウシュヴィッツの図書係
アントニオ G イトゥルベ 小原 京子

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「暗幕のゲルニカ」(原田マハ) 

原田マハ「暗幕のゲルニカ」を読みました。

1937年、スペイン内戦でゲルニカが空爆されたのをきっかけに描かれたピカソの偉大な作品「ゲルニカ」。
2003年には、国連本部に飾られていた「ゲルニカ」のタペストリーが、アメリカ国務長官による「イラクへの武力行使」発表会見の際に「暗幕」で隠される、という事態が発生します。

「ゲルニカ」が描かれ、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に展示されるまでを、当時ピカソのもっとも近くにいた女性ドラ・マールの視点から描かれるパートと、9.11で夫を失った八神瑤子が、MoMAで「ピカソの戦争展」を開催しようと奔走するパートが交互に描かれます。

キュレーターとして活躍していた原田マハならではの小説です。
一気に読んでしまいたい気持ちと、もっとじっくり読まなければ、という思いがせめぎ合う作品でした。

暗幕のゲルニカ
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「竜と流木」(篠田節子) 

篠田節子の「竜と流木」を読みました。

太平洋に浮かぶ小さな島ミクロ・タタでは、泉の守り神として愛くるしい両生類「ウアブ」が住民から守られていた。
米軍を退役した父と日本人の母をもつジョージは、「ウアブ」の研究をしながら、半年は両親のいるグァムで過ごし、あとの半年は英語教師として日本で働いている。
ウアブを愛するジョージは、開発のためウアブが島の泉で生息できなくなること知り、別の島メガロ・タタにウアブを移住させる。
その後、メガロ・タタでは、真っ黒なトカゲのような生物に人が襲われ、致死的な感染症を発症することが相次ぎ・・・

島の原住民の暮らしと、リゾートにやってくる裕福な人々の暮らしの対比。
人間の営みによって失われる生物の種の保存。
異なる環境に移された外来種の影響。
そして、島に古くから伝わる伝説。

篠田節子はいろんなジャンルの小説を書いていますが、こういうパニック小説の第一人者ですね。

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「サイレント・ブレス」(南 杏子) 

「サイレント・ブレス」を読みました。

大学病院の総合診療科に入局して10年目の水戸倫子は、教授から訪問クリニックへの異動を言い渡されます。
患者さんに丁寧に話をする倫子は、同僚からは要領がわるいと見られていました。

慣れない訪問クリニックの仕事を通し、倫子はそれまで想像したこともなかったような人々の生活や生き方に触れます。
がん末期の患者さんの部屋をたずねる怪しいスキンヘッドの男の正体は?
重い障害があるけれど一人暮らしを選んだ青年が、あの日ボランティアを断った理由。
亡くなったばかりの遺体が消えてしまう事件。
現役の医師が書いただけあって、在宅診療の様子をリアルに描きながら、事件や謎が解き明かされるという一粒で二度おいしい小説でした。おすすめです。

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南 杏子

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「静かな雨」(宮下奈都) 

宮下奈都さんの新刊「静かな雨」を読みました。

パチンコ店の裏の駐輪場で小さなたいやき屋さんを営むこよみさん。
彼女の作るたいやきは、とても美味しいと評判だ。
お店の常連となり、心を通わせるようになった行助。
こよみさんが事故で短期記憶を失ってからも彼女を支え続ける。

題名通り、静かに物語が進んでいきます。
覚えていられないことの切なさ。行助の優しさ。

帯に「著者の原点」と書いてあってどういうことかと思ったら、この作品は文學界新人賞を受賞したデビュー作なんですね。なるほど。

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